STORY.№13:完全に採用フラグ立ったのに不採用になるやつ

面接の日、緊張と期待が入り混じった気持ちで、私は共用スペースに足を踏み入れた。
周囲には面接待ちの候補者が待機しており、静かな緊張感が漂っていた。

そんな中、ふと目に入ったのは、面接官の一人だった。
彼は、スーツをきちんと着こなし、落ち着いた表情で書類に目を通していた。

「こんにちは」と声をかけると、彼は顔を上げ、にっこりと笑った。
「こんにちは。今日は面接ですね。頑張ってください。」

その一言で、私の緊張が少し和らいだ。
先方の通達ミスがあり、私はかなり早く面接会場についてしまったみたいでした。
私の番の面接が回ってくるまでかなり時間があり、彼が合間合間に雑談相手になってくれた。

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雑談を交わすうちに、話は盛り上がり、彼の趣味や仕事の話にまで及んだ。
彼の人柄に触れることで、私はこの会社に対する期待が高まっていった。
彼の笑顔と優しい言葉が、まるで内定を約束しているかのように感じられた。

「お互い頑張りましょう」と言われ彼と別れ、私は面接室へと向かった。
心の中には、彼との会話があったからこそ、内定は確実だという自信が芽生えていた。

しかし、面接室に入った瞬間、その自信は一瞬で崩れ去った。
面接官たちの表情は厳しく、冷たい空気が漂っていた。
最初の質問が投げかけられると、私は緊張で言葉が詰まってしまった。
自分の強みや志望動機を伝えようとしたが、言葉がうまくまとまらず、焦りが募るばかりだった。

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「あなたの強みは何ですか?」という質問に対し、私は何度も言い直し、結局は自分の言いたいことをうまく伝えられなかった。
面接官の一人が眉をひそめ、私の言葉を遮るように言った。
「それは本当に強みと言えるのですか?もっと具体的に説明してください。」

その瞬間、心臓がドキリとした。
圧迫面接という言葉が頭をよぎり、私はますます言葉を失った。
自分の考えを整理する暇もなく、次々と厳しい質問が飛んできた。
面接官たちの視線が鋭く、まるで私の弱点を探るかのようだった。

「なぜこの会社を選んだのですか?」という問いに対しても、私は自分の気持ちをうまく表現できなかった。
面接官の一人がため息をつき、「あなたの志望動機は薄っぺらいですね」と言った瞬間、私の心は完全に折れた。

面接は続き、私はますます追い詰められていった。
自分の言葉が相手に伝わらないもどかしさ、そして面接官たちの冷たい反応が、私の心を重くした。
最後の質問が終わり、私はただただ疲れ果てていた。

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面接が終わり、私は席を立つと、心の中に大きな失望感が広がった。
共用スペースでの楽しい会話が、まるで夢のように感じられた。
あの時の自信はどこへ行ってしまったのか。
面接官たちの厳しい視線が、私の心に深い傷を残した。

数日後、結果が郵送されてきた。
封筒を開ける手が震えた。
内定通知が入っていることを期待しながら、目を通すと、そこには「不採用」の文字があった。
心臓が締め付けられるような痛みが走り、私はその場に崩れ落ちた。

あの共用スペースでの楽しい会話は、ただの幻想だったのか。
期待が大きかった分、失望も大きかった。
自分の力不足を痛感し、何もかもが無意味に思えた。
内定を手に入れることができなかった私は、次のステップを考える気力も失っていた。

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それからの数日間、私は自分を責め続けた。
あの面接官との会話が、まるで自分を欺くための甘い罠だったかのように思えた。
期待と失望の狭間で揺れ動く心は、次第に冷たくなり、未来への希望が薄れていった。

結局、私は新たな道を見つけることができず、ただ日々を過ごすだけの存在になってしまった。
あの面接の日が、私の人生の分岐点だったのかもしれない。
期待が裏切られたその瞬間、私は自分の夢を一つ失ったのだった。

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